不思議なことに、
人は自分や相手を承認したいとき、
涙を流す。
そのため、懐かして泣くのは、
もうその頃に戻りたくても戻れない、
哀れな自分を承認したいという、欲求不満の証である。
懐かしくて泣く心理とは?
こんにちは、
最瞰主の良縁(みえにし)だ。
そう、
ドキッとしたかもしれないが、
懐かしさとは実は、
欲求不満のときほど感じやすい。
考えてみて欲しい。
今のあなたは、
恋人ととても上手くいっていて、
過去のどの恋人のときと比べても、幸せの絶頂だ。
そのとき、
昔の恋人との、
思い出の品が出てきた。
あなたは、
懐かしさを感じるだろうか?
むしろ、
『今の幸せがあるのはこのときもあったからだ!
どうもさよなら!』
と人によっては秒で現実に戻るだろう。
昔より、
今の現実の方が、
満たされているのだから。
それと比べ、
『今のパートナーとは散々だし、
昔の恋人とは幸せだったな。あの頃に戻りたい』
と思い、
思い出の品を眺めるとどうなるだろうか?
そう、懐かしさを感じ、
もう戻れない現実に、
やがて涙が出てくるのである。
このように、
懐かしさとは現在満たされておらず、
欲求不満であるほど感じやすい感情となっている。
そして、
もう戻れないという現実に、
自分を承認したいという思いから、涙が出てくるのだ。
懐かしさは昔の行動で自分を満たすため
『そうか私は、寂しかったんだ…』
と、人によっては感じたかもしれない。
そう、
今のあなたのような気分のときに、
懐かしさは感じる。
では、
懐かしさという感情自体は、
何のために発生しているのだろうか?
あの心地よいながらも、
どこか少し不快に感じる感情は、
何の役割があって感じるのだろう。
これは、
懐かしさとは今現在欲求を満たせていないので、
昔の欲求を満たせていた事をして、
実は欲求を満たそうとする感情だ。
だから、昔の恋人との思い出に、
懐かしいと感じたとき、潜在意識は、
「今の恋人より、
昔の恋人の方が幸せにしてくれたよ!
昔の恋人の方が欲求を満たしてくれるから、
より戻しちゃえよ!」
と実は言っているのだ。
そう、
懐かしいと感じた遊びをやってみたり、
懐かしいと感じた曲を聴き入ったり、
懐かしいと感じる食べ物を食べたいと思うだろう。
これは、しばらくやっていなくて、
行動原理になっていなかった事に、
懐かしさを感じさせることで再び行動原理にしようとしているのだ。
懐かしいと感じた事
→「もう一回それで行動して欲求を満たそう!」
と潜在意識が言っている
懐かしさとは、
忘れていた欲求を満たせる行動を思い出させ、
現在欲求が満たせていない心理状態を、
その行動で解消しようとしているのだ。
そのため、
現在、欲求が満たされていれば感じにくく、
欲求不満だと感じやすい感情となっている。
懐かしさの負の感情…
使っていなくて忘れかけていた行動原理を、
懐かしさの感情を発生させ思い出すことで再び行動原理にする感情
できないと泣く
さて、
少しモヤモヤもスッキリしただろうか?
そう、
懐かしくて昔の曲やゲームにまたハマったり、
同窓会で会って懐かしくて、また連絡を取るようになる。
懐かしいと感じて、
昔の行動で、
また欲求を満たすためだ。
では先程のように、元恋人などの、
懐かしくても、気軽にやり直せない場合、
また当時には戻れない場合はどうなるのだろうか?
そう、
この場合は寂しさのあまり、
泣く。
気持ちとしては、
当時に戻れないのは分かっている。
でも、
「昔の行動で自分を満たしたくても、
完全にもう戻れない」
こういう場合、
人は泣いて自分を承認しようとする。
ちなみに、
泣くというのは、
上でも書いたように承認行為だ。
映画等で人が泣くのは、
登場人物(相手)を承認したいからで、
自分や相手を承認したいときに人は涙を流す。
懐かしさを感じても、
もう完全に戻れないと分かっている場合、
人は喪失感を感じたり、泣いて自分を承認する。
では、
そんな時はどうすればいいのだろうか?
そう、懐かしいと感じるモノは、
良くも悪くも昔、
あなたの欲求を満たしてくれたものだ。
だから、
そんなときは、
その思い出に感謝をしよう。
しっかり相手や思い出に感謝できれば、
その感謝によって、思い出の心地よさが、
ときには幸福感に変わってくれる。
そして、
『また明日から頑張ろう!』
という気分に、
その幸福感がしてくれる。
だから、
もう戻れないと感じたときほど、
懐かしい思い出に感謝するようにしよう。
なぜ今は行動原理にしてないのか?
さて、
懐かしくて泣く心理には、
スッキリ出来ただろう。
ただ、
『じゃあ、
懐かしさを感じる事を、
元々、今はなんで行動原理にしてなかったんだろう』
などの、懐かしさの感情のメカニズムを、
疑問に思った人もいるだろう。
それらを、
ここから話していこう。
人よっては、
『欲求を満たせる行動原理なら、
別に元々ずっとそれで自分を満たしていれば良かったじゃん?』
そう感じたかもしれないが、
これは無理なのだ。
結婚しない相手であれば、
恋人とはいつか別れはくるし、
学校も卒業すると中々集まるのは難しくなる。
子供の頃の遊びも、
『大人になるために、
いつまでも子供っぽい遊びではいけないな』
と、やめるようになるし、
曲もずっと聴いていればそのうち飽き疎遠になる。
そのため、
それで自分を満たしていた事を忘れ、
ときに振り返ったとき、
懐かしさを感じるのだ。
ちなみに、
『オタク趣味で、
ずっと子供の頃から観ていたアニメを定期的に観ている』
という場合は懐かしさを感じない。
これは、
定期的に観る=行動原理になっているという事なので、
懐かしさを感じて行動原理に戻す必要がないからだ。
懐かしさとは、
あくまで忘れていた行動原理を再び行動原理にするために、
発生する感情となっている。
懐かしさは負の感情
そして、
ここでピンと来ないかもしれないが、
大事なことを言おう。
懐かしさは、
実は、
負の感情だ。
『えっ?
心地よいけど、負の感情なの?』
と、思っただろう。
懐かしさを感じたとき、
どこか「心地よい」ながらも、
少し「不快な感覚」が混じっているだろう。
まず、
その「心地よさ」の方は、
その昔の記憶から感じている正の感情だ。
例えば、昔の曲を、
『この曲は良い曲だったな』
と心地よく感じる。
この心地よさは、
曲を当時聴いていた時の気持ちよさの正の感情で、
記憶から発生しているのである。
これはもちろん、
何の正の感情のモノを、
思い出すかで変わる。
例えば、
楽しかった遊びで懐かしさを感じたときは、
当時のそれをやっていた記憶から発生する、
楽しさの正の感情を感じる。
そして、その正の感情にくっつき、
ノスタルジックと表現するような、
寂しさに近い少し「不快な感覚」を感じるだろう。
それが、
懐かしさの負の感情である。
なぜ、
懐かしさは負の感情かということを、
少し説明しよう。
怒りを感じると「行動が変わり」、
その後攻撃的になったり、
恐怖を感じると「行動が変わり」、
その後逃げ出す。
なぜ、「行動が変わる」のかは、
負の感情そのものが、
「そのままじゃダメだから行動を変えろ!」
という潜在意識からのメッセージだからだ。
そう、
欲求不満だからそれを解消するために、
昔の思い出を行動原理に戻す(変える)。
その後の「行動が変わる」ので、
負の感情でなければダメなのだ。
そのため、
その思い出自体は欲求を満たせる正の感情なので、
思い出の曲に心地よさの正の感情を感じる。
同時に懐かしさの負の感情で、
ノスタルジックな少し不快な感覚を覚える。
「懐かしい」と感じるときその両方が混ざり、
心地よさがありながらも、
どこか不快な感覚がするのである。
懐しさで欲求を満たそう!
さて、このサイトでは、
嫌な記憶、消したい感情全て消すことができる、
潜在能力を紹介している。
だが、今回は懐かしさだから、
懐かしさの負の感情を、
除去したいという人はいないだろう。
懐かしさを感じることは、
欲求を満たそうというとても良いことになる。
積極的に懐かしさを感じるものに触れてみて、
行動原理にできるものは行動原理し、
ぜひ自分を満たそう。
さて、懐かしさの記事をら
ここまで読んでくれたあなたに次のお勧めの記事は、
愛情の《他者欲求》タイプについてだ。
懐かしさを感じやすいほとんどの人は、
人生で愛情を求める《他者欲求》タイプとなる。
自分の脳のタイプを理解しておくことは、
幸せに生きるためにとても重要だし、
何より人生が面白くなってくる。
では、
愛情の《他者欲求》の記事はこちらだ。
そして、中には、
『ちょっと負の感情気になってきた』
という人もいるだろう。
そんな人には、
ショックの負の感情がお勧めだ。
実は、
過去ショックを受けた記憶は、
ある方法で、幸福感にすることができる。
これはもう、
人によっては幸せを実感できる、
とても素敵なことだ。
心理学としての専門的な解説
この先は少し内容も難しくなる、より専門的な知識が、面白いと感じる人は進んでみて欲しい。
文章そのものが難しいので読んで理解するだけで人によっては、面白しいだろうしついでに抽象化を理解する発想力が高まるだろう。
好きな人は、ワクワク感や「そういうことか」という理解感を大切に読んでみるのがオススメだ。
懐かしさの負の感情とは?
懐かしさの負の感情とは、昔の記憶を行動原理にするために発生する感情である。
昔の楽しかったことや嬉しかったこと等の、正の感情の記憶に懐かしさを感じさせ思い出させることで、
再びその物や曲を聴いたりし、昔感じていた楽しさや嬉しさ等の正の感情の心地よさを、また得るようにしている。
使わずに薄れてきた記憶にかぎり発生するが、これはその記憶を長期間使っていなく行動原理(同じ行動を繰り返す元)になっていなかったことを意味し、
忘れかけていた記憶に対して発生することで再び行動原理(その行動を繰り返すよう)にしようとしている。
(それに飽きたり、何かがキッカケでその物や曲、人に関わらなくなるとその記憶は薄れていく。)
要約すると、昔の正の感情が得られた出来事(記憶)から何かがキッカケで離れ、使っていなく行動原理になっていなかったが、
懐かしさを感じることで思い出させ行動原理にして、現在でもまた記憶と同じ行動をして再び正の感情を得ようとしているのである。
・昔の楽しかった思い出や好きだった曲を何かがキッカケで思い出したり聴いたりする
→その思い出に懐かしさを感じることでその記憶を再び行動原理にする
→その場所に行ったりまた曲をよく聴くようになり昔と同じ楽しさや嬉しさ等の正の感情を得ようとする
動物も懐かしさを使って同じ場所に戻る
実は、これらの懐かしさでの行動は人間だけでなく動物でも見られ、例えば渡り鳥が寒くなってくると毎年同じ暖かい場所に移動するのは、
その暖かい場所を見つけたときにそこで《生存欲求》を満たせると感じそれが行動原理になる。
次の年に寒くなってくると忘れかけたその場所を懐かしさの負の感情で思い出す、
その場所に行って再び欲求を満たせたと感じたときに懐かしさの負の感情も更に強く発生し、その場所に行けば《生存欲求》を満たせるのだと忘れないようにしている。
そして来年以降毎年その場所に暖かさを求め行くこととなる。
(懐かしさは、「思い出したとき」と「それに触れたとき」の2段階発生していて、
後ほど詳しく解説するが、この2つが発生することで完全な行動原理となる。)
懐かしさは五感で感じるか
動物では上にあるように基本的に「欲求」となり「場所」に限られるが、人間は欲求を満たす元となる「正の感情」が何種類も発生し、
正の感情が紐付くものとなるので「場所」に限らず「人」や「物」や「曲」、「味」「匂い」等、五感で感じる様々なものから懐かしさを感じる。
地元やお世話になった人を懐かしく感じたり、昔のオモチャや曲、親の手作り料理、昔の恋人の匂いなど、五感(により発生する正の感情)と紐付いて記憶は保存されるため、これら五感が懐かしさを感じるキッカケとなる。
(正確には人間は、怒って我慢している人が音を立てたり行動をしていなくても、その人から怒りのオーラを感じるように、感情の量子を拾う感覚第六感を含め、六感により構成されている。)
具体例
『久しぶりに実家に帰って私物を整理していたら昔の写真が出てきてとても懐かしかった』
→昔の写真で当時の楽しさ等を思い出し懐かしさを感じることで、その写真に写っている人や場所、同じことをすることでまた楽しさ等を感じられるよう促している
(実際行動して強い懐かしさの負の感情が発生したときのみ完全な行動原理となる)
※後述するが、懐かしさは2段階で完全な行動原理となるのでカッコ内はその解説
『街を歩いていたら昔の曲が流れてきて懐かしかった』
→その曲を聴いていた当時の心地良さを思い出すことで懐かしさを感じ、同じ曲を聴いて当時の心地良さをまた感じるように促している
(実際に曲を聴くという行動に出て改めて強い懐かしさの負の感情が発生したときのみ、以降も繰り返し曲を聴くようになる)
『久々に実家に帰ったら昔よく食べていたコロッケを母親に作ってもらいお袋の味がしてとても懐かしかった』
→そのコロッケの味を美味しく感じていたことを思い出すことで懐かしさを感じ、同じ味を食べて当時の美味しさをまた感じるように促している
(親本人に作ってもらう必要はなくレシピを聞いたりといった行動をする、食べたときに強く懐かしさの負の感情を感じれば感じるほどそれを食べることを繰り返す行動原理となる)
『街でたまたま昔の恋人がつけていた香水の匂いがしてとても懐かしかった』
→昔の恋人がつけていた香水の匂いに懐かしさを感じ、昔の恋人との楽しかった記憶を思い出したときは思い出の場所等に行ったりすることを促し、香水の匂い自体に心地良さを感じているときはその香水の匂いをまたかぐように促している
(実際行動して改めて強い懐かしさの負の感情が発生したときのみ完全な行動原理となる)
これらのように使っていなかった記憶から正の感情を感じたとき、同時に懐かしさの負の感情を発生させることで、
その記憶と同じ感情を現在でも得られるよう行動しているのであり、実際行動して強く正の感情が発生したときは同時に改めて強く懐かしさも感じ、完全な行動原理となる。
ちなみに懐かしさの負の感情は正の感情を感じたときに同時に発生するが、
懐かしさの負の感情は記憶を再び行動原理にするという脳の役割を果たすために発生している。
そのため、懐かしさを感じたとき、心地よいながらも少し不快な気持ちが混じっているその感覚は、
その記憶からは正の感情を感じるので心地よいが、懐かしさ自体は負の感情となっているため、懐かしさを感じたとき、心地よさと不快な感じが同居したような感覚を覚える。
懐かしさは基本的には消す必要のない負の感情かと思われるが、懐かしさの負の感情だけでなく、全ての負の感情は心であることをするだけで一瞬で除去することができる。
noteというサイトで「負の感情の書換能力の承継」という、潜在能力を承継する内容の特殊な電子書籍を出しているので、興味がある人はこちらをご覧いただきたい。
更に専門的な解説
ここからは、更に難しくなる。
また、「初めて見た景色なのになぜか懐かしさを感じる」という現象に関しても、次の感情の発生起源で解説しているので、
勉強好きな人は、ぜひ面白さを感じながらも勉強していってもらえれば幸いだ。
それでは、解説していこう。
感情の発生起源
渡り鳥の例でも話したように、元々は欲求を満たせる場所を憶えておくようにするために、発生するようになった感情だと推察される。
実は、人間にも懐かしさの負の感情のみで記憶から発する正の感情を感じず、唯一懐かしさの負の感情単独で発生するときがある。
それが大草原等の大自然を目の前にしたときに、
『初めて見た景色なのに何故か懐かしさを感じる』
という不思議な感覚を感じたときである。
これは大自然の景色を見たときに、遥か昔人間が人間になる前の《生存欲求》を主で生きていた時代に、
そこで欲求を満たせていたことを思い出し、懐かしさを感じることで《生存欲求》を満たしてくれる、大自然という場所に戻ることを促しているのである。
これは、大自然で《生存欲求》を満たせていることを忘れず、いき過ぎた自然破壊をしないためにも、重要な感覚となっている。
このときのみ、懐かしさの負の感情が単独で発生するが、遥か昔《生存欲求》のみで生きていた時代は一つの感情の回路しか存在しなく、その時代の名残が人間の脳にはまだ感情として存在するのである。
懐かしさの負の感情は欲求を行動原理にするという役割から、現在では懐かしさの負の感情が発生すると、その時の記憶から感じる正の感情が、ほぼ同時に発生するようになったと推察される。
「文明を感じない大自然の景色を見て懐かしさを感じたときのみ懐かしさの負の感情が単独で発生する」
「渡り鳥等の動物も《生存欲求》を満たすために場所に懐かしさを感じる」
これらの事から、大自然という生存欲求を満たしてくれる場所を忘れないようにするために懐かしさは発生するようになった感情、
またそこから派生して現在では正の感情の記憶を再び行動原理にして欲求を満たすように促している感情だということが結論として導き出される。
負の感情としての性質
【属する欲求】 全欲求
【行動原理】 承認執着
懐かしさの負の感情とは、大脳新皮質の使わずに薄れてきた記憶に対して正の感情が発生するとき、
懐かしさを感じることでその記憶を消去しないようにし、行動原理にするために大脳辺縁系の海馬に移動させる役割を司る負の感情である。
懐かしさの負の感情の強さに関しては、それを憶えておくように思考をすることを促すため、負の感情としては基本的に弱く発生するものとなる。
行動を促す負の感情は潜在意識を優位にするために強く感じ、思考を促す負の感情は顕在意識を優位にとどめるために弱く感じるからである。
負の感情強 行動(潜在意識優位)↔負の感情弱 思考(顕在意識優位)
また、行動原理は《承認執着》であり、《承認執着》は欲求を満たすことを強く促す行動原理のため、
上記の元々の性質とは別にその記憶から強い正の感情が発生すれば発生するほどそれに比例する形で懐かしさの負の感情も強くなる。
そこまで正の感情が発生しない懐かしい記憶に関しては、『そういえばそういうこともあったな、何となく懐かしい』と懐かしさの負の感情を弱く感じるのに比べ、
昔の大好きだった物を見つけて強く正の感情を感じ、『これ大好きだったやつだ!めちゃくちゃ懐かしい!』と懐かしさの負の感情を強く感じるのはそのためである。
懐かしさの負の感情の原理としては、《承認欲求》に[懐かしさの負の感情]が紐付くことで承認欲求を満たすことを強く促す《承認執着》となる。
【欲求 + 負の感情 = 執着】
承認欲求 + 懐かしさの負の感情 = 承認執着
昔の正の感情が発生する記憶を忘れないようにすることで、欲求を満たすための行動原理にし、そうすることで欲求を満たすように促しているのである。
人間の記憶についての大前提
まず、人間の記憶についての大前提を解説すると意思決定や原動力として使うエピソード記憶に関して、
人は大脳辺縁系の海馬にとどめておき、それを意思決定や原動力として日々使い活動している。
大脳辺縁系の海馬の記憶は原動力として使っているので、忘れることもないし懐かしさを感じることもない。
他人から嫌なことをされたのをいつまでも憶えていて、時折思い出したときに強く嫌な気分になるのは、原動力として使い終わっていないという証拠である。
(負の感情は全て原動力となるために存在している)
この大脳辺縁系の海馬にあるエピソード記憶の中で、役割を終えた記憶は大脳新皮質に移動することとなる。
これはその記憶から発する正の感情をもう感じられないと思ったり、
負の感情を原動力として使いきることで、記憶から感情が発しなくなり役割を終え大脳新皮質に移動させるからである。
(大脳辺縁系の海馬の容量の問題もあり重要なエピソード記憶だけをそこに残すようにしていて、多くの記憶はある程度時間が経つと大脳新皮質に移動させる)
そして大脳新皮質の方に移動した記憶は自身の挙動を繰り返すためと過去に何を行なったか、
相手との記憶であればその人の顔や外見、関係性を含め何があったかを記憶として使うようになる。
この大脳新皮質の記憶の中で使わない記憶に関しては、必要ないと判断され薄れていくものだが、
懐かしさの負の感情は、この薄れていく記憶の中で、きっかけがあり記憶から正の感情を感じたものを、大脳新皮質から大脳辺縁系に移動させるものとなる。
このときに、過去の記憶から正の感情が発するのに比例する形で、懐かしさの負の感情も発生し、その記憶を意思決定や原動力とするため、懐かしさの負の感情で大脳辺縁系に戻している。
2段階で完全な行動原理となる
渡り鳥の例のときに、2段階懐かしさの負の感情を感じていると解説したが、
人間でも渡り鳥と同じことが起きており、例えば何年も離れていた地元がTVで取り上げられ懐かしさを感じる。
懐かしさを感じることでそれから実際地元に帰り、そのときに懐かしさの負の感情とともに前に感じていた正の感情が強く発生する。
以降、毎年地元に戻るようになる。
TVに映っても懐かしさを感じなければ地元には帰らないし、地元に戻っても正の感情を得られなければ懐かしさの負の感情は強く発生せず以降は戻らないようになる。
実際に戻ったとき懐かしさの負の感情を強く感じるのは、その場所で再び正の感情が得られることを確認できたときに発生し、行動原理にするためである。
・何かがきっかけで正の感情が得られた昔の記憶を思い出したとき懐かしさの負の感情が発生
→その記憶と同じ行動をする
→そのときに昔と同じ正の感情を感じられれば同時に懐かしさの負の感情が強く発生し完全な行動原理となる
(昔の友人に会って懐かしいと感じて、思い出話をして強く懐かしいと感じるように、完全な行動原理になるには二段階懐かしさの負の感情が発生している。)
実際TVで地元を見て懐かしく感じても、人間の場合は実家や地元の友人に電話して思い出話から正の感情を得ようとするくらいだが、懐かしさの負の感情とはこのようになっているのである。
また、後ほどこの枝分かれしたパターンについては解説しよう。
懐かしさの発生条件
完全な行動原理となるには、2段階懐かしさを感じることが必要になるが、懐かしさの負の感情の発生条件自体は次のようになる。
・その出来事を久しぶりに思い出したとき
→行動原理になっていなかった忘れかけていた記憶をまた行動原理にするため
・思い出しても負の感情が発生せず楽しさや嬉しさ等の正の感情のみが発生する
→懐かしさの負の感情は正の感情のみに反応するようになっている
(負の感情や依存の感情の記憶に反応し、再び行動原理とするのは「蘇りの負の感情」という感情になる。
蘇りは封印していたトラウマを思い出したときなどに発生する特に嫌な感情。)
この2つの条件を感じることで、まず懐かしさが発生する。
この続きとなるが、例えば同窓会等で、
『皆集まって懐かしかったけどあの頃とは違いもう同じ感情は得られないんだな』
と思うと喪失感を感じ行動原理にすることはなくなる。
これは、2段階目で懐かしさを感じられなく、結局行動原理にならなかったケースである。
いくら懐かしさの負の感情を強く感じても話していくうちにもう昔と同じ行動では正の感情が得られないと感じると、
一時的に行動原理になっても、喪失感の負の感情を発生させて正の感情が得られない行動を消去するようになる。
懐かしさの負の感情とは忘れかけた記憶を再び行動原理にするために発生し、まず第一段階では懐かしさを感じて昔の行動と同じ行動を行う、
そこで改めて強く懐かしさの負の感情を感じるときのみ、完全な行動原理となり昔と同じ行動を繰り返すようになる。
そのため、一度行動原理になったとしても、やっぱり昔と同じ行動では正の感情が得られないと感じたときは、
同窓会の例のように、喪失感の負の感情で行動原理を消去するようになる。
懐かしさの例外的なケース
懐かしさを感じ行動原理になっても、過去のその懐かしさを感じるものと全く同じことができないときは、近いもので代替するように促される。
例えば現在は違うスポーツをやっていて学生の頃のスポーツで優勝した写真を見て達成感を思い出し懐かしいと感じたときは、
今のスポーツで達成感を感じようと頑張ろうと思うようになる。
また、当時は嫌な記憶だったが乗り越えたものに関しては負の感情が発生しなくなるので懐かしさを感じる。
『高校の頃の部活で滅茶苦茶怒られて嫌だったけど今思えば懐かしいし良い思い出だな』
と思うのは乗り越えて負の感情が正の感情に変わったからであり、また励みになるような環境に身を置くよう行動原理となるのである。
これらを踏まえ、懐かしさの各ケースを次章にて整理し、解説する。
懐かしさによる各行動ケース
懐かしさの負の感情が発生したときの行動ケースは、幾つかあるためパターン別に次のようになる。
まず、過去の記憶を思い出しても懐かしさを感じるときと感じないときがある。
【懐かしさを感じないとき】
→〔過去の記憶を思い出しても正の感情が発生しないとき『そんなこともあったね』と薄いリアクションになり大脳新皮質にある記憶は徐々に薄れていく〕
【懐かしさを感じるとき】
→〔過去の記憶から正の感情も発生しており行動原理にするために同時に懐かしさの負の感情も発生して大脳新皮質から大脳辺縁系の海馬に移動させる〕
これらを踏まえ完全な行動原理になるときとならないときは次のようになる。
【懐かしさを感じても行動原理にならないとき】
→〔懐かしさを感じて一時的に記憶を大脳辺縁系の海馬に移動させ記憶と同じような行動をするが、その行動では正の感情をもう得られないと感じたとき喪失感の負の感情が発生して、記憶を大脳新皮質に戻すか消去することとなる〕
TVで地元を見て懐かしく感じた例の、地元に帰ったが地元ではもう正の感情を得られないと感じそれ以降戻らないときにこのパターンとなる。
また、同窓会で話していて強く懐かしさを感じても『もうあの頃には戻れないんだな』と感じるのも、結局この行動ではもう正の感情を得られないと感じこのパターンとなる。
エピソード記憶の中の、人や出来事を覚えておく必要がある場合は大脳新皮質に記憶はとどまり、それ以外のときは記憶はかなり薄まり忘れていくようになる。
【懐かしさを感じて完全な行動原理になるとき】
→〔懐かしさを感じて一時的に記憶を大脳辺縁系の海馬に移動させ、記憶と同じようなことをすることで正の感情が発生し、同時に改めて懐かしさの負の感情も発生することでそれ以降も完全な行動原理となる〕
懐かしさは単純な怒りや恐怖とは異なり、複雑に感じるかもしれないが、これらのようにパターンが幾つも枝分かれしているため、他の負の感情と比べても分かりづらいものとなっている。
懐かしさは執求にはならない
人によっては懐かしさ負の感情と記憶から発する正の感情が混じって執求にならないのか疑問に思ったかもしれないが、
懐かしさの負の感情と記憶から発する正の感情は別々に発生するものであり、執求のように入り混じることはない。
執求とは一つの行為で正の感情と負の感情が発生するときに入り混じるものであり、
懐かしさは昔の記憶から発する正の感情と、記憶を思い出し大脳辺縁系の海馬に移動させるという行為により発生する、懐かしさの負の感情の2つに分かれているからである。
まずはここまで読んでお疲れ様といいたい。
今回の懐かしさは、負の感情の中では一番難しく、この内容を理解するには抽象化したものを解明する発想力が必要となってくる。
ここまで読んだあなたは、抽象化した内容を頭の中で具体化し理解できたので、かなり抽象化能力が高まっているだろう。
その抽象化能力を幸せを感じる事に使ってもらえたら幸いだ。
また次の記事でも、あなたに会えるのを楽しみにしている。